インフルエンザウイルスの新しい株は、偶然だけで起こりうるよりも頻繁に極東からやってくる。
一九五七年(アジア風邪)と一九六八年(ホンコン風邪)の汎流行はもちろん、北京株、山東株、武漢株、シンガポール株などはみなそこから発している。
この地理的な謎を説明するために好まれる説はある。
中国南部の田舎を震源地であるとしている。
ここには、水鳥(主に家鴨)、ブタ、人間たちが、世界のどこよりも密に接近して住んでいるのである。
遺伝子に不連続変異を起こしたウイルスが人間に感染するためには、一般にトリ、ブタ、ヒトの三角関係を必要とする。
水鳥は、無害な感染としてこのウイルスを保有しているため、インフルエンザウイルスの主な自然貯蔵庫である。
しかも、一五のHAタイプと九つのNAタイプのすべてが、ほとんどあらゆる可能な組合せとして、烏のなかに見つけられる。
したがって、烏はインフルエンザウイルスの財渦であり、そこから多数の異なるインフルエンザ株が大星里に糞のなかに排出されるのである。
しかし、少数のHAタイプをもったウイルスしか直接人間の細胞に感染することができないので、遺伝子再集合したトリウイルスが人間に首尾よく広がるためには、ふつう中間宿主というものが必要になるのである。
ここがブタの入り込むところなのである。
なぜならブタは、烏と人の両方のインフルエンザ株に対して非常に感受性が強いからである。
烏のインフルエンザウイルスと人間のインフルエンザウイルスの間の最終的な遺伝子組換えが、同時にこれら二つの株に感染したブタのなかで起こる。
百年に二、三回出現するものは、鳥のなかで再集合され、ブタのなかで人のインフルエンザ遺伝子と混合され、そして人間に感染して汎流行を起こしうる遺伝物質をもったウイルスである。
一九五七年のアジア風邪は、三つのトリウイルス遺伝子をもったヒトウイルスによって引き起こされたし、一九六八年の汎流行を引き起こしたホンコンインフルエンザウイルスは二つのトリウイルス遺伝子をもっていたのである。
一九一八年のインフルエンザがいくつかの点で例外的であったことは、誰もが一致する意見である。
この汎流行はヨ-ロッパとアメリカを一掃し、遠くアラスカの荒野や孤立した島の社会にまで到達した。
世界の人口の半分が感染し、感染者二0人にひとりが死亡した。
死者の大半は十代と若い成人であった。
これを他のインフルエンザ汎流行と比べるとよい。
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